税のしるべ(2020年10月28日)によると、国税庁は、コロナウイルスの影響による大幅な地価下落が認められた場合は、路線価の引き下げを行うとしていたところ、7月1日時点の基準地価ベースではそのような傾向が認められなかったため、路線価の補正は行わず、7月から12月までに広範な地域で20%以上の下落が認められた場合は、路線価補正等の対応を行うとのことです。
相続税路線価は公示地価の80%程度に設定してあります。路線価は少なくとも1年間は金額が変わらないのですが、土地の時価は常に変動していますから、公示地価≒路線価とすると、例えば地価が下落しているにもかかわらず、相続税の申告において高い評価額を用いなければならないという納税者の不利益が生じるおそれがあります。そこで、「1年間であれば最大でも20%以上の下落はないだろう」との予測に基づき、路線価を公示地価の80%とすることで、納税者の不利益が生じないようにしている訳です(「評価の安全性に配慮」といわれています)。路線価補正の要否につき、時価が20%以上下落を判断基準としているのはこうしたことによるものです。
今回は路線価の補正は無かったわけですが、賃貸物件なんかはテナントや入居者が退去を決めてから実際に出るまで3ヶ月から6ヶ月はかかりますので、ここから賃料収入減少→物件売却増加→地価下落という流れが本格化するかもしれませんね。とにかく一日も早い事態の収束を願うばかりです。