中小企業に取り組んでもらいたいことは、「数字を見て状況を把握する」ということです。ただ、ここでいう数字というのは売上や利益あるいは、流動比率や総資産回転率といった一般的な財務分析の指標だけを指しているのではありません。
そうした数字・情報も役には立つのですが、それらはいずれも金額だけの情報です。金額だけを眺めていてもわかることは限られています。重要なのは、販売数量や作業時間といった金額以外の情報と絡めることです。
管理活動に多くの人員を投入できる大企業や中堅企業ではそうしたデータを整備し、経営に役立てるということを普通に行っていますが、中小企業ではそこまで手が回らないと思い込まれている方も多いと思います。しかし、最近は会計ソフトもかなり使い勝手が良くなっており、便利な機能を活用すれば、会計データ整備に要する労力をかなり抑えることができ、その上で経営に役立つデータ整備に取り組むことができるようになります。
そのような中で、「どのようなデータを整備すべきなのか」、「必要なデータをどうやって整備するのか」、「出てきた結果をどのように考えるべきか」といった課題・疑問に答えていくのが、われわれの役目であると考えています。
お客様からご相談を頂いた際に、すぐさまその場で適切な回答をする「当意即妙」のようなことが実践できればなによりですが、実際はそのようにはいきません。お客様の悩み、疑問、課題をきちんと把握することで適切な回答ができるのであり、そのためには、とにかくお客様の話をよく聞くことが大切だと考えています。
お客様の話をよく聞いて、あれこれ検討した上で、適切な回答が準備できたとしても、それでわれわれの仕事が終わる訳ではありません。むしろ最も重要なのは回答を準備した後の「説明」です。準備した回答をお客様にきちんと理解して頂くことでようやく、われわれの仕事の価値が生まれると考えています。
大手監査法人にて監査業務、コンサルティング業務に従事した後、一般事業会社(金融業)へ。営業部門にて法人金融やM&Aアドバイザリーなど、会計・税務の枠を超えた業務に従事。その後中堅監査法人を経て独立開業。100件以上の中小企業再生案件に関与。これまでの経験を活かし、顧客のさまざまな要望に応えることができる会計士・税理士を目指して、日々業務に取り組んでいる。